
(伊豆市修善寺町大平地区)




北条幻庵代官屋敷跡の場所(小田原市久野)
金龍院は北条幻庵が創建した臨済宗大徳寺派早雲寺末の寺であるが開山は不明、明治初期の廃仏毀釈にて廃寺となり現在は宗派では直接関係のない曹洞宗の寺院となっている。開基の位牌の中に北条幻庵の戒名『金龍院殿明吟哲公大居士』(幻庵宗哲は大徳寺派の僧名)が現在まで金龍院に伝えている。この寺の近くには水量は少ないが落差105mの伊豆の名所旭滝がありこの可憐な滝の姿から尺八の名曲『滝落ち』が生まれているのだが尺八の名手であった北条幻庵が作ったとも?言われている。また「一節切り尺八」も自作するなどして一族の中に尺八が広まっていった。
この場所には伊豆唯一の虚無僧の寺『瀧源寺』(普化宗)があったとされるが明治の廃仏稀釈で廃寺となり現存していない。京都には縁者が多い幻庵と普化宗との関係も予想され、江戸時代になると関東地方に普化宗が急激に増え、武士から農民になった北条一族の中には虚無僧(尺八)になったものも多かったのではなかろうか。本尊十一面観音菩薩は県の文化財として現在の金龍院に保存されている。昨年の静岡新聞にこの尺八の名曲『滝落ちの曲』は現在でも地元保存会によって秋に現地にて演奏されていることがでていた。この虚無僧の『滝落ち』の名曲より愛読している内田康夫氏の浅見光彦シリーズ『喪われた道』が生まれたともいわれ、昨年の12月1日の内田康夫氏の修善寺での講演会で直接そのエピソードを聞くことができた。
金龍院(曹洞宗 伊豆市大平)
金龍院から200m西に龍源院(普化宗)跡と旭滝がある
北条幻庵の戒名(現金龍院本堂中央)